COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDとは
従来慢性気管支炎、肺気腫といわれていた疾患です。慢性気管支炎、肺気腫を含むCOPDは、タバコによる気道や肺胞の炎症で生じ、肺の働きが低下します。
COPDになると正常な呼吸が困難になり、せき、たん、息切れなどの症状がみられるようになります。COPDの症状はありふれた症状であるため、見過ごしてしまいがちで、COPD発見の遅れにつながります。
COPDが進行すると少し動いただけでも息切れし、日常生活もままならなくなります。
進行すると呼吸不全や心不全を起こす命に関わる病気ですので、早期発見、早期治療が重要です。
特に40歳以上の方で喫煙歴のある方は要注意です。
COPDの原因
COPDは別名タバコ病といわれており、原因の90%以上は喫煙です。たばこの刺激などで気管支に炎症が起こり、ついには肺胞が破壊されることによって、呼吸がしにくくなります。
喫煙開始の年齢が若いほど、また1日の喫煙本数が多いほどCOPDになりやすく進行しやすいといわれています。日本ではたばこの消費量が1970年ほどまでは増加しましたが、
それから30年ほど遅れてCOPD死亡者数が増加しています。その他、受動喫煙、大気汚染、職業的な粉塵、化学汚染も原因と言われています。
【出典】慢性閉塞性肺疾患死亡者数:厚生労働省「人口動態統計」(1970-1990は肺気腫+慢性気管支炎)
COPDかも?どうしたらわかりますか?
COPD患者さんは気道がせまくなり、息が吐き出せないことが特徴です。そこで、医療機関でスパイロメーターという器具を使って肺がうまく働いているか調べます。
他にも病状の問診や、体の診察、胸のレントゲン撮影、血液検査などを行い、肺の状態を詳しく調べ、喘息などの似た症状を起こす病気を除外した上で診断します。
問診のポイント
40歳以上で10年以上の喫煙歴があり、以下の症状があるか?
・坂道などで呼吸困難になる
・3週間以上続く咳や痰、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
・風邪をひく機会が多い。
まずは禁煙
COPDになる最大の原因は喫煙です。既にCOPDになっていても、タバコをやめればその後の肺機能定価はタバコを吸わない人とほぼ同じになるとされています。
ニコチン依存度チェック
ハイの数が5つ以上ならニコチン依存症と診断されます。
- 自分が吸うつもりよりもずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
- 禁煙や本数を減らそうと試みて出来なかったことがありますか?
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか?
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか?
(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) - 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
- 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
- タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
- タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
- 自分はタバコに依存していると感じることはありましたか?
- タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?
日本循環器・肺癌・癌・呼吸器学会「禁煙治療のための標準手順書 第5版」
健康保険の適用
喫煙習慣は治療の対象となる薬物依存症の一つなので、医療機関で治療を受けることができ、次の4つの条件にすべて当てはまれば禁煙治療に健康保険が適用されます。
条件
- 現在タバコを吸っていて、ただちに禁煙しようと考えている。
- ニコチン依存症のテストの結果が5点以上
- 1日平均喫煙本数×喫煙年数が200以上
例:1日平均20本のタバコを30年吸ってる人の場合は20本×30年=600となります。 - 禁煙治療を開始する際に、医療機関で禁煙治療の同意書に同意できる。
※過去に禁煙治療で健康保険の適用を受けた方は、前回の初診日から1年経過しないうちは自由診療となります。(自費)