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変形性関節症

関節の仕組み

関節は、一方が凸(関節頭)、もう一方が凹(関節窩)となる骨で構成され、骨と骨の間のすき間(関節腔)があるものをいいます。関節となる面は「関節軟骨」で覆われ、関節の周囲は「関節包」で包まれています。関節包の内側にある「滑膜」が「滑液」を分泌し、関節腔を満たしています。 関節軟骨は、骨と骨が直接ぶつからないようクッションのような役割を持っています。また、関節包に満たされた滑液は軟骨に栄養を供給するとともに、骨同士の摩擦をはじめとする衝撃を吸収し、関節をなめらかに動かす働きを持っています。

変形性関節症とは?

骨と骨との間にあって、クッションの役割や滑らかな動きを可能にしている組織が軟骨です。変形性関節症では、その軟骨がすり減って、滑らかな動きができなくなり、大きな摩擦を生じるようになります。 この状態では、壊れた軟骨などの組織のかけらによって関節の内側にある滑膜に炎症が起こったり、ときには水(関節液)が溜まって、腫れ上がることもあります。変形性関節症は、関節に痛みや腫れが起こる病気です。この病気では骨にも影響が及びます。 軟骨の下の骨が硬くなったり、骨棘(こつきょく)という突起ができたりして、関節の変形が起こります。さらにこの状態を放置していると、関節の動きが悪くなることもあります。

☆変形性関節症はその原因によって、一次性関節症と二次性関節症に分けられます。

一次性関節症

一次性関節症とは、原因がはっきりしない変形性関節症で、年齢や肥満などのさまざまな要因が重なって発病すると考えられています。変形性膝関節症の多くは、このタイプです。

二次性関節症

二次性関節症とは、病気やけがなどが原因で起こる変形性関節症です。たとえば、関節リウマチや痛風、骨折、じん帯・半月板の損傷、生まれつきの関節構造の異常などが原因となります。日本では変形性股関節症の多くは、このタイプです。

変形関節症の原因

●遺伝

家族に変形性関節症の方がいると、変形性関節症になる確率が高くなるという調査報告があり、何らかの遺伝が関係していると考えられています。

●年齢・性別

年齢が高くなるにつれて患者さんが増えてきますが、これは、年齢とともに筋力が弱くなり関節にかかる負担が大きくなることや、長年にわたり関節を使い続けて関節の軟骨がすり減ってきたことなどが関係していると考えられます。 しかし、スポーツ選手やタイピストなど、特定の関節を使い続けた場合などでは若くても発症します。男性にも女性にも起こる病気ですが、年齢が高くなるほど女性の患者さんが増えてきます。

●肥満

太っていると膝や股の関節にかかる負担が大きくなるため、変形性関節症が起こりやすくなります。

●職業

特定の関節を長い間繰り返し使うと、関節の軟骨がすり減り、変形性関節症が起こりやすくなります。スポーツ選手や肉体労働者、ピアニスト、タイピストなどは、よく使う部分の関節に変形性関節症を起こすことがあります。

変形関節症の症状

最も多い変形性膝関節症の場合、初期には歩きはじめや立ち上がり時など動作開始時に痛みを訴える例が多く、病期が進行するにしたがって動作中の痛みを訴えるようになります。階段の昇降、特に降りるときや、平地歩行にも支障を生じるようになり、膝の曲げ伸ばしが制限され、正座やあぐらが困難になります。 滑膜の炎症・増殖による滑膜炎が起こると関節に水がたまる「関節水腫」となり、腫脹・圧迫感を訴えます。さらに関節軟骨や半月板の変性・摩耗が進むと、関節を動かしたときに痛みを伴って異音が出ることがあります。 太ももの筋肉すなわち「大腿四頭筋や大腿屈筋群」の筋力低下や、関節面の骨破壊が進むと、関節の不安定感を訴えます。日本人では大多数が関節の内側の変形が強いため、内反変形つまりO脚になります。 変形性股関節症の場合も、初期には歩きはじめや立ち上がり時などに軽い痛みを感じる程度で、歩いていると軽快してきます。病期が進行するに従い動作中や歩行時に痛みが強く、関節の動きが悪くなり、正座やあぐら、和式トイレ、靴下の着脱や足の爪切りなどが困難になります。 さらに安静時痛や、痛みや筋力低下による跛行が出るようになり、末期になると脚長差を生じます。 指の一番先の関節が罹患する「ヘバーデン結節」では、発症初期の急性期には痛みと腫れが強く、徐々に関節の変形が進み慢性期になると、痛みが軽快または消失するのが特徴です。

変形性関節症の治療

①日常生活状の注意

長時間の歩行や階段昇降、正座など関節に負担のかかる動作をなるべく避け、歩行には杖を使用する。ハイヒールや、底の硬い靴は避け、なるべくクッションのあるスニーカーをはく。関節を冷やさないよう注意する。肥満者は減量を心がける。

②運動療法

大腿四頭筋などの太腿の筋肉や、股関節周囲筋の筋力強化を、関節に体重をかけない臥位や座位で行う。水中歩行も効果的である。また変形性関節症の原因のひとつである肥満の解消にも役立つただし、無理な運動をすると、かえって病気を悪くしてしまうこともあります。医師や理学療法士の指導を受けて、適度な運動を続けることが大切です。

③温熱療法

関節や筋肉の痛みを和らげ、血液の流れをよくする。ホットパックや極超短波のほか、温泉や家庭での入浴も効果的である。

④薬物療法

関節内注射:関節軟骨の保護および修復作用、関節内の潤滑作用、および鎮痛作用のあるヒアルロン酸を使用する。現在、膝関節と肩関節に適応があり、その他の関節には保険適応となっていない。炎症症状の強い場合にはステロイド剤が効果的だが、副作用もあるため繰り返しの使用は避ける必要がある。

消炎鎮痛剤:痛みや炎症の強いときには効果的だが、関節を修復する効果はない。副作用もあるため、長期服用は避けなければならない。

外用薬:消炎鎮痛剤入りのパップ剤や、軟膏がある。副作用が少なく使いやすいが、皮膚が弱い場合には使用に注意する。

⑤装具療法

内反(O脚)型の変形性膝関節症では、外側を楔状に高くした足底装具が有効である。膝関節の不安定性がある場合には、支柱やバンド付の膝装具が有用な場合がある。

⑥手術療法

1)関節鏡視下手術 主に膝関節に対して行われ、関節内の洗浄、異常増殖した滑膜の切除や、変性・断裂した半月板の部分切除などを行う。比較的病期や症状の軽い例に効果がある。
2)各種の骨切り術 骨を切ってつなぎ直すなど、骨の変形を矯正する。骨がつくまでに2~3カ月かかるため、長期の入院やリハビリが必要。
3)人工関節置換術 関節を、特殊な金属やプラスチックなどでできた人工関節と置き換える。膝や股関節の軟骨や周りの骨の破壊が進んでいる場合などに行う。術後、1ヵ月程度の入院が必要。ほとんどの場合、関節の痛みがなくなり、歩くこともできるようになるが、正座など、関節を深く曲げる動作を行うことは難しい。除痛効果は絶大だが、人工関節のすり減りや弛みによる寿命があるため、60歳以下に対する適応は慎重に行うべきである。