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むくみ(浮腫)について

むくみとは

朝起きて鏡を見ると顔が腫れぼったい、夕方になると靴が窮屈になる、今まではいていたズボンが窮屈になった、“太ったんだろうか、むくんでいるのだろうか”と不安を感じたことはないでしょうか。

むくみ(浮腫)と肥満の違いは?

同じように体重が増加しても、むくみ(浮腫)と肥満では、その成り立ちは全く違います。むくみは体の水分が異常に増加した状態であり、肥満とは脂肪分が増えることなのです。これを区別するには、むくんでいると思われる部分、特に足のすねを10秒以上強く指で押しつけてみましょう。へこみが出来れば、むくみ(浮腫)です。肥満の場合にはこのようなへこみは出来ません。また、ひどいむくみの場合には3~4日で10㎏も体重が増加することもありますが、肥満の場合にはここまで極端なことはありません。

むくみやすい場所はどこ?

からだのなかで、もっともむくみが起こりやすいのが脚です。心臓から遠い位置にあって血液の流れが悪くなりやすいことと、重力の関係で水分がたまりやすいからです。脚のむくみは一般に、立ち仕事の人に多い症状ですが、実はデスクワークの人にもよくみられます。どちらも同じ姿勢を続けることで、脚の組織液(水分を含む血液、リンパ液など)の循環が悪くなり、細胞のすき間などに水分が停滞するからです。 また疲れがたまったときや、睡眠不足になったときなどにも、脚のむくみが起こりやすくなります。これは血液を送り出す心臓の働きが低下するためです。 中高年になって脚の筋力が低下した場合にも、むくみが起こりやすくなります。脚の筋肉(とくにふくらはぎ)は、血液を心臓に戻すポンプの役割をしているため、筋力が低下すると血液がうまく戻らなくなり、血液中の水分が停滞するからです。 こうした脚のむくみの多くは、一過性のもので、ひと晩寝ると治まる程度なら、あまり心配はありません。 注意したいのは、病気が原因となる脚のむくみです。原因には、心臓や肝臓、腎臓など、さまざまなケースが考えられます。むくみから重大な病気が発見されることもあるので、なかなか治らない場合には受診しましょう。

気になる病気①・・・肝臓と腎臓の障害

脚のむくみと関連して、最近注目されているのが、アルブミンという物質です。アルブミンは血液中(血清)に多く含まれるタンパク質の一つで、アミノ酸などの栄養素を運搬するほか、血液の浸透圧(血管に水分を取り込んだり、排出したりするときの圧力のこと)を調整する働きをしています。
そのためアルブミンの量が低下すると、細胞間質(細胞と細胞のすき間)にある水分を血管に取り込む圧力が弱くなり、水分がたまりやすくなることがわかってきました。
アルブミンは、食べ物などにふくまれるタンパク質をもとにして肝臓で合成され、腎臓でろ過されます。そのためアルブミンが低下している場合には、肝臓や腎臓などになんらかの障害がある可能性が考えられます。そのサインの一つが、むくみです。
したがって、脚などのむくみがなかなか治まらない場合には、アルブミン検査を受け、肝臓や腎臓などの機能をチェックすることが大切です(※1)。
肝臓障害(肝硬変)を起こすと、脚だけでなく全身にむくみを生じることもあります。また、腎臓障害の場合には、まぶたや顔にもむくみが出ることが少なくありません。こうした症状は自分でもわかりやすいので、症状がみられたら早めに受診しましょう。

(※1)アルブミン検査では通常、アルブミンの量のほか、血清中のもう一つのタンパク質であるグロブリンとの比(A/G比)を検査します。この検査によって、肝硬変やネフローゼ症候群など多くの病気の可能性を知ることができます。

気になる病気②・・・心不全・下肢静脈瘤ほか

心不全などの心臓障害と下肢静脈瘤も、脚のむくみの原因となります。
どちらも夕方になると、脚のむくみと疲れが出やすくなります。立ち仕事が多い人も、夕方に脚がむくみやすいのですが、こうした一過性のものとは異なり、症状が続く場合には注意が必要です。
心不全というのは、心臓がポンプの役割を正常に果たせなくなった状態をいいます。心臓が血液を送るときの圧力が弱くなると、心臓から遠い脚では血行が悪くなり、その結果、脚のむくみなどの症状を起こします。ほかに、階段を急いで上ったときに息切れしたり、動悸がしたりする症状もみられます。
脚のむくみから、心不全の原因となる動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの重大な病気が発見されることもあるので、早めに受診することが大切です。
下肢静脈瘤というのは、脚の静脈にある弁(逆流を防ぐための弁)に障害が起こり、血液が脚にたまりやすくなる病気です。もっともわかりやすい症状は、脚の血管がこぶのようにボコボコとふくらむことです。また脚がむくみ、疲れやすくなり、夜中につることも少なくありません。
下肢静脈瘤は、すぐに生命にかかわる病気ではありませんが、血管が皮膚の表面に盛り上がるため、とくに女性には深刻な問題です。初期なら弾性ストッキングなどを着用することで、かなり改善できるので、血管外科などに相談してみましょう。
そのほか、甲状腺機能の低下や原因不明の突発性浮腫(むくみ)によって、脚にむくみが出ることもあります。また、がんの手術でリンパ節などを切除したあとには、リンパ浮腫が起こりやすくなります。

むくみの解消方法

脚のむくみを解消するには、マッサージが効果的です(がん手術後のリンパ浮腫の場合には、必ず医師に相談してから始めてください)。 マッサージといっても、もむのではなく、なでるようにしてリンパ液の流れを改善します。リンパ液には老廃物を運搬する働きがあるので、脚の疲れをとる効果もあります。

  1. 両手をひざの両側に軽くあて、脚の付け根にあるリンパ節に向けて、ももをやさしくなで上げていきます。最初は、ももの表側を下から上に向けてなでます。
  2. 同じように、ももの裏側を下から上に向けてなでます。
  3. 次に足首付近に両手をあて、ひざに向かってなでます。
  4. 同じように、ふくらはぎをひざ裏に向かってなでます。
  5. 最後に、足首付近から脚の付け根に向けて、そっとなでます(表側と裏側)。

床に座って脚を軽く伸ばし、ひざを少し立てる姿勢をとると、マッサージをしやすくなります。いずれも力を入れず、10回程度ずつ行います。

むくみの予防

脚のむくみを予防するには、日ごろからの心がけも大切です。

  1. 適度の運動
    ふくらはぎやももの筋肉が弱ると、血液などの流れが悪くなり、むくみやすくなります。ウオーキングや散歩などで、よく歩くことを心がけましょう。
  2. 階段を使う
    階段の上り下りは、脚の筋肉をよく使うので、血行などの改善に効果的です。日ごろからできるだけ階段を使うようにしましょう(ひざ痛や腰痛がある人は、無理をしないこと)。
  3. 脚の先を動かす
    脚の先を動かすと、ふくらはぎの筋肉も動き、血液などの流れがよくなります。いすに腰かけた姿勢で、かかとを上げ下げする。また、かかとを床につけて、つま先を上げたり、伸ばしたりする運動をしましょう。

(※2)前述したアルブミンには、栄養素を運搬したり、リンパを刺激して免疫物質をつくる働きもあります。そのためアルブミンが減少すると、疲れたり、免疫力が低下することもわかってきています。