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平成29年1月

冬場の肌トラブル

乾燥する冬場は、かさつきや痒み、湿疹など肌トラブルが増えます。痒みが不眠の原因になっている方もいるのでは?

乾燥によるトラブルの機序

皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織に分かれます。外部刺激や細菌の侵入、体内の水分喪失などを防ぐ、いわゆるバリア機能を有するのが表皮です。
表皮の潤いは、表皮の角層に存在する、①皮脂膜、②角層細胞間脂質、③天然保湿成分により保たれています。しかし、加齢に伴いこれらの保湿因子が減少し、角層の肥厚なども伴うことで乾燥肌を呈します。

①皮脂膜

汗腺から分泌された汗と、皮脂腺から分泌された皮脂が混ざり合ってできた皮脂膜は「天然のクリーム」ともいわれ、肌(皮膚)の表面を覆って保護しています。年齢や性別、体の部分によって分泌される量が異なりますが、皮脂の分泌が少なすぎると肌(皮膚)はカサカサしてしまいますし、逆に多すぎると肌(皮膚)がべたついたり、皮脂を栄養源とするニキビ菌などが増え、ニキビや吹き出物の原因になります。うるおい肌のためには適度な皮脂の分泌が大切なのです。 一般に皮脂は頭部、顔、胸、背中などの上半身では豊富ですが、下半身では少なくなりがちです。また男女ともに思春期には皮脂分泌が盛んですが、年を重ねるにつれて徐々に減少します。男性ではその減少が比較的緩やかですが、女性では閉経後に少なくなることがわかっています。

②角層細胞間脂質

角層細胞間脂質は角層細胞の間を満たし、水分の蒸散を抑えて、肌(皮膚)のうるおいを保っています。角層細胞間脂質の約40%がセラミドと呼ばれる保湿成分です。角層細胞の構造は、レンガとセメントにたとえられます。角層細胞(レンガ)を角層細胞間脂質(セメント)がしっかりと結びつけることで、水分の蒸散を抑えて、刺激から守ってくれているのです。ですから角層細胞間脂質(セメント)が少なくなると角層細胞(レンガ)がぐらついてしまうのです。これが粉を吹いたような状態です。

③天然保湿成分(natural moisturizing factor:NMF)

角層細胞内の水分を保つ働きをしています。その成分としてはアミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸、尿酸などで、表皮細胞で作られています。年齢を重ねることにより、NMFは少なくなっていきます。

また、敏感肌=乾燥肌とは限りませんが、非常に密接した関係にあり、乾燥で肌の水分・皮脂がともに少なくなると、肌のバリア機能が低下しやすくなります。また、敏感肌は、乾燥だけでなく、紫外線やアレルゲンなどの外部刺激にも反応しやすくなっている肌状態。肌の感受性が高まっている状態です。そして「乾燥して肌が痒くなる」というのは、バリア機能の低下が進行した段階といえます。

特に冬場は外気の乾燥や暖房器具による湿度の低下、気温低下に伴う発汗量の減少などにより乾燥状態が増長されやすく、それに伴い様々なトラブルが生じるのです。

典型例が、高齢者に多くみられる「老人性乾皮症」(皮脂欠乏症)。体幹や四肢、特に下腿のすねが粉を吹いたようになり触るとカサカサします。乾燥肌は角層が浮いた状態、バリア機能が弱く、痒みにも敏感で、かきむしると掻破痕ができてしまいます。掻き続けていると「皮脂欠乏性湿疹」となり、さらにじゅくじゅくした「貨幣状湿疹」、そして「自家感作性皮膚炎」へと重症化していきます。

乾皮症であれば保湿剤のみでも治りますが、皮脂欠乏性湿疹になるとミディアムクラスのステロイド外用剤が必要になります。貨幣状湿疹や自家感作性皮膚炎にまで進展してしまうと抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服が必要になることもあるので、病院を受診してください。

経皮吸収型製剤、貼付剤の使用によるかぶれも、乾燥肌に起きやすいトラブルの1つです。日頃から保湿剤を使って皮膚の水分量を一定に保ち、炎症を起こしにくい状態にしておきましょう。

保湿剤の効果的な使い方

種類による違い

作用機序から2種類に分けられます。
「エモリエント」皮膚を覆うことで表皮に油脂膜を作り体内からの水分蒸発を防ぎます。
例) ワセリン

「モイスチャライザー」水分保持作用をもち、NMFを補う作用があります。
例) 尿素製剤(ウレパール、ケラチナミン、パスタロン他)、ヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド他)

塗布時期・回数

保湿剤は入浴直後に速やかに塗布するよう言われることが多いですが、入浴直後と1時間後の塗布では保湿効果に有意な差はないというデータもあります。入浴直後、あわてる必要はないので、毎日決められた回数しっかり塗布することが大切です。

日常生活における対策

お風呂の温度はぬるめがおすすめ

40度以上のお湯は避けて、ごしごし洗いではなく、優しく洗いましょう。ナイロンタオルの使用は避けましょう。入浴後は保湿剤をしっかりとつけることが大切です。

刺激の少ない下着や衣類を

乾燥肌の方は皮膚が敏感になっているので、下着や衣類が痒みの原因になることがあります。直接肌に触れる下着には綿製品やシルクを選びましょう。ポリエステルなどの化学繊維製品は肌との摩擦が多く、汗を吸い取りにくいため、痒みの原因になります。 下着や衣類の洗濯にも注意が必要です。すすぎが十分でなく洗剤が残っていると、痒みの原因になります。洗濯の際には十分にすすぎましょう。それでも気になる方は、敏感肌用の洗剤や柔軟剤を使用するのもよいでしょう。

バランスの良い食事を

ビタミンA
抗酸化作用があり、肌荒れの予防におすすめ。
人参、かぼちゃなどの緑黄色野菜や青魚に多く含まれます。

ビタミンC
抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を抑えたり、コラーゲンの生成を助け、肌のハリを保ったりします。
みかんやレモン、イチゴなどの果物、ジャガイモやカリフラワーなどの野菜に多く含まれます。

ビタミンB2
皮膚や粘膜の健康にかかわるビタミンで、不足すると肌荒れや口内炎をおこします。大豆製品、牛乳、レバー、魚介類、ナッツ類に多く含まれます。

ビタミンB6
アミノ酸の代謝にかかわるビタミンで、不足すると肌荒れや貧血になることがあります。
玄米や魚介類、バナナなどに多く含まれます。

ビタミンE
強い抗酸化作用があるとともに、皮膚の新陳代謝に役立ちます。
玄米やウナギ、大豆製品、ナッツ類に多く含まれます。

イソフラボン
皮膚のうるおいを保つエストロゲンにその構造が似ていることから、女性に大切な成分と注目されています。植物由来の大豆イソフラボンは抗酸化作用があり、エストロゲンが不足している更年期の女性にはおすすめです。

 

〈参考資料〉
大塚製薬ホームページ
日経ドラッグインフォメーション2016.12

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