クローバー薬局ニュース

Clover Pharmacy News

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平成26年6月

アレルギーとアナフィラキシーについて

アレルギーってなに?

アレルギーは、体を守る「免疫」反応のエラー

私たちの体にはウイルスや細菌などの外来の異物(抗原)が入ってきた時に、体内に「抗体」がつくられ、入ってきた異物を排除するために働く「免疫」という生体にとって不可欠なしくみが備わっています。
ところが、この免疫のしくみが、食べ物や花粉など本来私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応した結果逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうのが「アレルギー」です。体を守るはずの反応が、自分自身を傷つけてしまうアレルギー反応に変わるのです。
大気汚染や住環境・食生活の変化、ストレスなどにより、アレルギー疾患は増加し、約3人に1人がアレルギーを持っていると言われています。

エラーの犯人は、「IgE抗体」

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」または「抗原」といいます。花粉、ダニ、ハウスダスト、食物、薬物など、私たちの身の回りには多くの種類のアレルゲンがあります。どのアレルゲンに反応するかは人それぞれです。
アレルゲンが体内に入ってくると、これをやっつけようと「IgE抗体」(※免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質の一種。体内で作られる抗体にはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があります。)というタンパク質が作り出されます。このIgE抗体は、皮膚や粘膜に多くあるマスト細胞の表面にアンテナのように張り巡らされています。再びアレルゲンが侵入してきて、このIgE抗体のアンテナにひっかかり結合した時、マスト細胞の中につまっているヒスタミンなどの化学物質が一気に放出されて、かゆみなどの症状があらわれてくるのです。

アレルゲンが体内に入った直後から数時間以内という短時間で症状が出るアレルギー反応は、Ⅰ~Ⅳのタイプの一つである「Ⅰ型=即時型」になります。Ⅰ型アレルギーには、代表的なアレルギー疾患である花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などの他、食物アレルギーなどがあります。

アナフィラキシーってなに?

アナフィラキシーは命にかかわることも

アナフィラキシーとは、重篤で生命に危険を及ぼす全身性のアレルギー反応で、皮膚粘膜、呼吸器、循環器、消化管など様々な臓器で様々な症状を起こします。アナフィラキシーが重篤な状態の場合は、血圧が低下し、意識の状態も低下を認めたりするアナフィラキシーショックと呼ばれる生命に関わる状態に陥ることもあります。

症状が出るまでの時間は、アレルゲンによって異なります。

アナフィラキシーの特徴のひとつは、短時間で症状があらわれること。症状が出るまでの時間は、アレルゲンや患者さんによって差があります。
薬物や蜂毒は直接体内に入るため、早く症状が出る傾向にあります。これに対し食べ物は胃や腸で消化され吸収されるまでに時間がかかるため、症状が出るまで薬物や蜂毒よりは時間がかかることが多いです。アナフィラキシーが原因で心停止に至った例の、心停止までの平均時間は薬物で5分、蜂毒が15分、食物では30分といわれます。(アナフィラキシーがすべて心停止に至るわけではありません)
またアナフィラキシーは、一度おさまった症状が再びあらわれることもあります

アナフィラキシーの症状

複数の症状がみられたら「アナフィラキシー」かもしれません

アナフィラキシーの症状はさまざまです。
もっとも多いのは蕁麻疹、赤み、かゆみなどの「皮膚の症状」。次にくしゃみ、咳、息苦しさなどの「呼吸器の症状」と、目のかゆみや浮腫み、口唇の腫れなどの「粘膜の症状」、さらには血圧低下など「循環器の症状」も見られます。
これらの症状が複数の臓器にわたり全身性に急速にあらわれるのがアナフィラキシーの特徴です。特に急激な血圧低下で意識を失うなどの「ショック症状」も1割程みられ、これはとても危険な状態です。

アナフィラキシーの可能性が高い場合

次の3つのうち、いずれかに当てはまる場合は、アナフィラキシーの可能性が高いとされます。

① 突然(数分~数時間)、皮膚や粘膜の症状があらわれ、さらに呼吸器系の症状あるいは血圧の
低下などのうち少なくとも1つの症状がある場合

 

② 抗原と疑われるものに触れる、あるいは食べたり飲んだりした数分~数時間後、次の症状の
うち2つ以上が突然あらわれた場合

 

③ すでに抗原と分かっているものに触れる、あるいは食べたり飲んだりした数分~数時間後、血圧の低下がみられた場合

アナフィラキシーの原因

① 食物

原因として最も多いのは鶏卵です。アナフィラキシーの原因というとピーナッツやそばが多いというイメージがありますが、鶏卵アレルギーは軽症から重症まで含めた人数が一番多く(食物アレルギー全体の約3分の1)、アナフィラキシーを起こした人の中でも鶏卵アレルギーが最多となっています。ピーナッツやそばは即時型アレルギーを起こす人数が少ない(食物アレルギー全体の数%)ですが、鶏卵などと比べるとより重症のアナフィラキシーを起こす人の割合が多いと考えられています。
同じ食物に対してアナフィラキシーを起こす場合でも個人差が大きく、加工品をほんの少し食べただけでもアナフィラキシーショックを起こす人もいれば、たくさん食べたときだけ症状を起こす人もいます。

② 蜂毒

アナフィラキシーを引き起こす可能性のある虫さされとしてはハチが最も代表的であり、中でもスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチが重要です。
ハチ毒に対するアレルギー反応がない場合は、局所症状は数日で改善します。
しかしながら、ハチに一度刺されてハチ毒に対する抗体ができている場合は、再度ハチに刺された後5~10分以内にアナフィラキシーを起こすことがあります。また、ハチ毒の成分は種類によって異なりますが、スズメバチ類とアシナガバチ類の毒成分は類似しているため、アシナガバチに刺された経験がある人は、初めてスズメバチに刺された場合でもアナフィラキシーを生じる可能性があります。

③ 薬物

原因となる薬物の多くは、抗生剤(特にペニシリン系、セフェム系などのβラクタム系が主)、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、抗てんかん薬の頻度が多く、検査に使われる造影剤、ワクチンや麻酔薬、輸血なども原因となりやすい傾向があります。

④ ラテックス(天然ゴム)

天然ゴム製品に含まれるラテックスという水溶性蛋白質によりアナフィラキシー反応が起こることもあります。ラテックスは医療用手袋やカテーテル、ゴム風船や避妊具、ゴム靴、ゴム草履などに使われており、触れるとその部分がはれたり、蕁麻疹がみられ、重症になると喘息発作やアナフィラキシー反応を生じます。
またラテックスアレルギーがあると、バナナ、クリ、アボガド、キウイなどの果物と交差反応を生じ、これらの果物を食べるとのどのかゆみ、口唇や顔面の腫脹、蕁麻疹が出現し、さらに症状が進むと喘息発作やアナフィラキシーを起こします。これらの果物にラテックスに含まれるアレルゲンと似た構造をもつ成分が含まれているためで、これを「ラテックスフルーツ症候群」と呼びます。

⑤ 運動

「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」といって、特定の食物を食べてから運動をした時にだけアナフィラキシーが起こる方もいます。この場合は食べただけや運動しただけでは症状がないので、最初にアナフィラキシーを起こして初めて食物アレルギーに気づかれることがほとんどです。

アナフィラキシーが起こったら

アナフィラキシーの薬

アナフィラキシーの治療法は症状によって異なります。
軽い皮膚や粘膜症状の場合は抗ヒスタミン薬、呼吸器症状には気管支拡張薬、症状が重くなってくると経口副腎皮質ステロイド薬などの内服薬が用いられます。
ショック症状(ぐったり、意識障害、失禁など)やのどの強い症状(のどが締め付けられる感じ、声がれ、声が出ないなど)、呼吸器系の強い症状(強い喘鳴、呼吸困難など)があらわれた場合には、速やかにアドレナリン自己注射薬(アナフィラキシー補助治療剤:医師の処方箋が必要)を用います。
過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある、もしくは起こす危険性があると思われる場合は、緊急時にそなえてアドレナリン自己注射薬を常に携帯しておくとよいでしょう。

アナフィラキシーの症状が出た時の対処法

食物の場合は、口の中に残っていれば、すぐに出して水でゆすぎます。原因となる食物が体に付着していたり、手で触ったりした場合は水で洗い流して下さい。
蜂に刺されて毒針が残っている場合には、あまり無理をして取り除いたり、毒を出すためにつまんだりすると逆に毒そのものや毒針、および細菌を体内に押し込んでしまう危険性があります。
このような場合、直ちに最寄りの医療機関を受診し、医師による適切な処置・治療を受けるようにしてください。

急に動かしたりせず、安静な体位をとるようにしてください

仰向けで寝かせ、足を高くして楽な姿勢にします。嘔吐があった場合、顔を横に向けて吐いたものをのどに詰まらせないようにしましょう。
一旦アナフィラキシーの症状がおさまっても、時間をおいて再び症状があらわれる場合もあります。しばらくの間は注意深く状態を見守り、医師に相談をしましょう。

またこれらはアナフィラキシー時の初期対応の一部であって、実際には症状の進行の速さや重症度に応じた対応が必要となります。

 

〈参考資料〉
ファイザー製薬ホームページ アナフィラキシーってなあに?
アレルギー支援ネットワーク
広島県医師会HP

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