クローバー薬局ニュース

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平成25年9月

しびれについて

しびれという言葉はいろいろな意味で使われます。びりびりする、ぴりぴりする、触ってもよくわからない、温度がわからない、冷えるなど色々なときにしびれと表現されます。中には手足が動きにくいことをしびれと表現される方もおられますが、この場合は脱力(運動の障害)と考えたほうがよいでしょう。
原因もいろいろ考えられます。しびれというのは感覚の障害ですが、まず、感覚に関わる神経のどの部分が悪くて症状が出ているのかを見つける必要があります。例えば脳梗塞や脳腫瘍でもしびれが出ることがありますし、背骨に変形があるときや手足の先にいく神経がいたんでもしびれます。どこが悪いかがわかれば、原因や治療法もわかりやすくなります。

全身の症状

手指・足指のしびれを生じる病気は数多くあります。
原因がはっきりわかるしびれもありますし、寒い風に当たっただけで「しびれた感じ」を感じるようなはっきりしないしびれもあります。

原因と病態

【内科的原因のしびれ】
内科的な原因としては糖尿病やアルコール性のしびれがあります。これは末梢神経が病気によって障害されて生じています。ビタミンBの欠乏などでも生じますし(現代では非常に少ない)、お薬の副作用でしびれが出る場合もあります。
【脊椎に関連するしびれ】
脊髄の圧迫によるしびれもありますし(脊髄症)、馬尾神経や神経根の圧迫によるしびれもあります。
病名では、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症、頚椎・腰椎椎間板ヘルニアなど多くの脊椎疾患で「しびれ」が生じます。
【末梢神経に関連するしびれ】
脊椎から神経が出てからの部分で末梢神経に圧迫が加わって生じます。
病名では、手根管症候群、肘部管症候群、ギヨン管症候群、大腿外側皮神経麻痺、腓骨神経麻痺、足根管症候群、などがあります。

予防と治療

症状の原因となっている病態が一時的なものであれば、自然治癒するものも少なくありません。
神経への圧迫が強く、日常生活に支障があるようなら、原因を治すための手術療法が検討されます。

上肢の神経の障害

上肢がしびれた場合には、そのしびれかた、持続時間、しびれた部位・範囲、他にしびれはないか、などによってある程度予測がつきます。

1) 一時的なしびれ
朝起きたとき、からだの下になっていた手がしびれたことなどを経験したことがあると思いますが、すぐに治ってしまう場合は、血行が一時的に悪くなったためのしびれで心配ありません。これは正座をした後と同じです。ただし、手根管症候群では、朝方に眼がさめたときにしびれや痛みが強くなりますので注意が必要です。手指を動かすと軽くなるのが特徴です。
2) しびれの部位による考え方
母指(親指)・示指・中指と環指の母指側半分の掌側だけがしびれている場合は正中神経の障害と考えられ、手根管症候群が最も疑われます。初期や軽症のときは、示・中指のしびれだけのこともあります。
小指と環指の小指側半分の掌背側がしびれたら、尺骨神経の障害で肘部管症候群が最も疑われます。
母指・示指・中指の手の甲(手背)側がしびれて手首が背屈しにくくなったら、橈骨神経麻痺が最も疑われます。
手背・前腕・上腕がしびれている場合や両手がしびれる場合は、頚椎の疾患胸郭出口症候群などが疑われます。
また、両手足がしびれる場合には、頚椎疾患や神経内科が専門の末梢神経の変性疾患が考えられます。
一方、片側の手足がしびれる場合や上肢のほかに口の周りなどがしびれる場合などには、頭の中の病気(脳腫瘍や脳血管障害などの頭蓋内病変)を考えます。
3) 自分でできる障害神経の判定
手根管症候群を疑ったら両手の手首を直角に曲げて手の甲をつけたかたちで1分間保持します。その間にいつもの痺れが強くなれば、手根管症候群の可能性が高まります。
肘部管症候群であれば、肘の内側に軽くたたくと小指に放散する痛みやしびれを感じます。
橈骨神経麻痺では、手首や指が背屈できなくなるのでわかります。

手関節の症状

手根管症候群

初期には示指、中指がしびれ、痛みがでますが、最終的には母指(親指)から環指の母指側の3本半の指がしびれます(正中神経の支配領域)。急性期には、このしびれ、痛みは明け方に強く、目を覚ますと手がしびれ、痛みます。
手を振ったり、指を曲げ伸ばしするとしびれ、痛みは楽になります。手のこわばり感もあります。ひどくなると母指の付け根(母指球)がやせて母指と示指できれいな丸(OKサイン)ができなくなります。縫い物がしづらくなり、細かいものがつまめなくなります。

原因

特発性というものが多く、原因不明とされています。妊娠・出産期や更年期の女性が多く生じるのが特徴です。
そのほか、骨折などのケガ、仕事やスポーツでの手の使いすぎ、透析をしている人などに生じます。腫瘍や腫瘤などの出来物でも手根管症候群になることがあります。

病態

正中神経が手首(手関節)にある手根管というトンネル内で圧迫された状態です。それに手首(手関節)の運動が加わって手根管症候群は生じます。
手根管は手関節部にある手根骨と横手根靱帯(伸筋支帯)で囲まれた伸び縮みのできないトンネルで、その中を1本の正中神経と指を動かす9本の腱が滑膜性の腱鞘を伴って走行しています。
手根管の内圧が上がり、圧迫に弱い正中神経が扁平化して症状を呈すると考えられています。使いすぎの腱鞘炎やケガによるむくみなども同様に正中神経が圧迫されて手根管症候群を発症します。

診断

手首(手関節)を打腱器などでたたくとしびれ、痛みが指先に響きます。これをティネル様サイン陽性といいます。
手首(手関節)を直角に曲げて手の甲をあわせて保持し、1分間以内にしびれ、痛みが悪化するかどうかを見ます(誘発テスト)。症状が悪化する場合はファレンテスト陽性といいます。母指球の筋力低下や筋萎縮を診ます。補助検査として、電気を用いた筋電図検査を行います。手根管をはさんだ正中神経の伝導速度を測定します。
腫瘤が疑われるものでは、エコーやMRIなどの検査が必要になります。

治療

手根管症候群に間違いないという診断が下されたら、消炎鎮痛剤やビタミンB12などの飲み薬、塗布薬、運動や仕事の軽減などやシーネ固定などの局所の安静、腱鞘炎を治めるための手根管内腱鞘内注射などの保存的療法が行われます。
難治性のものや母指球筋のやせたもの、腫瘤のあるものなどは手術が必要になります。手術には、以前は手掌から前腕にかけての大きな皮膚切開を用いた手術を行っていたが、現在はその必要性は低く、内視鏡を用いた鏡視下手根管開放術や小皮切による直視下手根管開放術が行われている。

〈参考資料〉
日本神経学会
日本整形外科学会

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