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物忘れ(認知機能の低下)について

人の名前を思い出せなかったり、何をしようとしたのか忘れてしまったりする物忘れは、年齢に関係なく日常的に起こります。しかし、家族の名前を忘れてしまったり、同じことを何度も質問するような重度の物忘れは、認知症などの疾患が隠れている場合もあります。

日常生活から考えられる原因

1.加齢にともなう記憶力の低下

記憶力は、20歳代をピークに徐々に減退していきます。とくに60歳頃になると、記憶力に加え判断力や適応力なども衰え始め、段々と物忘れが多くなるようになります。しかし、人の名前を忘れてもヒントを与えると思いだすなど、自分で記憶力の低下を自覚しているような物忘れは、加齢によって誰にでも起こることですから、それだけではイコール認知症というものではありません。

2.精神的ストレス、栄養バランスの乱れ、過労、寝不足

精神的ストレスが溜まっていたり、栄養バランスの乱れた食生活や過労、寝不足が続くと、集中力が低下して物忘れが多くなります。これは心身に疲れが溜まっているサインですから、十分な休息をとって回復する必要があります。

3.物忘れの原因となる主な疾患

重度の物忘れは、認知症や脳腫瘍、慢性硬膜下血腫など脳の疾患が原因で起こり、物忘れ以外にも外出がおっくうになったり、気分がふさぐようになったりする意欲の低下をともなうこともあります。脳の疾患以外では、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症などが物忘れの原因になります。

物忘れ(認知機能の低下)をともなう疾患

1.脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって、脳の細胞に異常が起きたことで生じる認知症のことです。洋服のボタンをかけ違えるなど、以前はできたことができなくなったり、何か尋ねても答えが出るまでに時間がかかったりするようになります。こうした判断力の低下によって徐々に日常生活に支障をきたすようになり、周囲の人が疾患に気付くケースが多くあります。症状は、脳血管障害の発作を起こすたびに段階的に悪化していきます。

2.アルツハイマー型認知症

脳の細胞が段々と委縮し、思考や記憶、言語に関わる部分が障害される疾患です。初期症状では、昔のことを覚えているのに、最近のことが思い出せなくなるなどの記憶障害が起こり、また、周囲のことに興味を示さなくなります。表情が乏しく、沈んだようになったかと思うと、多弁になるなど気分の波が激しくなることもあります。症状は徐々に進行していき、やがて家族や友人がわからなくなったり、徘徊や幻覚がみられるようになったりします。

3.脳腫瘍

脳にできた腫瘍が大きくなることによって、周囲の脳組織を圧迫し、脳機能に障害をもたらす疾患です。特徴的な症状は頭痛と吐き気、嘔吐です。頭痛は早朝に痛みを強く感じ、日中にかけて次第に弱くなりますが、日を追うごとに痛みがどんどん強くなります。さらに腫瘍がどこで発生したかによって、記憶力や判断力の低下による物忘れ、手足の麻痺やけいれん、視野が狭くなるなど、さまざまな症状があらわれます。

4.慢性硬膜下血腫

頭部の打撲などが原因で、脳を包む膜と脳の間に徐々に血液が溜まり、大きな血液の塊による血腫ができます。それが脳を圧迫して、頭痛、記憶力の低下、手足の麻痺や意識障害などの症状を引き起こします。高齢になるほど記憶力の低下が起こりやすいといわれています。手術で血腫を取り除くと元の状態に戻ります。

5.正常圧水頭症

脳を保護する髄液は、脳の中側にある脳室で分泌され通路を経て、髄膜で吸収されますが、なんらかの原因で通路に流出できず、分泌された髄液が大量に溜まり脳室がふくらんだ状態が正常圧水頭症です。脳腫瘍や頭蓋骨内での出血などが原因となって起こり、50~60歳代での発症が多くみられます。物忘れなどの記憶障害や意欲の低下、尿失禁などが症状としてあらわれます。とくに特徴的なのが歩行障害で、左右の足の幅が広く、小刻みで不安定な歩行をするようになります。

6.甲状腺機能低下症

免疫の異常を主な原因として、甲状腺ホルモンの分泌や作用の低下が起こる疾患です。進行すると元気がなくなったり、皮膚のカサつき、むくみ、生理不順などの症状があらわれることがあります。また、甲状腺は脳の細胞の働きにも使われていますので、不足することで物忘れ、集中力や思考力の低下などがみられることもあります。

7.ビタミン欠乏症

ビタミンは、バランスのとれた食生活をしていれば不足することはそうありません。しかし、偏った食生活、アルコールや清涼飲料水の飲みすぎ、加工食品のとりすぎによって不足することがあります。ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸が不足すると、イライラ感や軽度のうつなどが起こり、さらに進行すると記憶力の低下や錯乱、せん妄などの症状があらわれ、認知症と間違えられることもあります。

8.うつ病

特別な疾患がないのに、だるさや疲れがとれず気力が低下したり、落ち込んだりして興味や楽しい気持ちを失い、それを自分の力で回復するのが難しくなる疾患です。多くの場合、食欲が減退し、食事の量が低下して体重が減少します。その他睡眠障害、集中力の低下をはじめ、認知機能が低下して物忘れが多くなり、体の動きが鈍ったり、逆にイライラして焦る気持ちが強くなったり、疲れが激しくなるなど、心と体の双方に症状があらわれます。

認知症の中で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です

欧米と同様に、我が国でもアルツハイマー型認知症が最も多く、年々増加する傾向にあります。アルツハイマー型認知症は、記憶力の低下で始まり、日付・曜日や居場所がわからなくなる見当識障害、料理などの作業の要領が悪くなる実行機能障害、判断力の低下、言葉が円滑に出ないなどの「中核症状」がみられます。さらに、イライラして怒りやすくなることやものを盗まれたと主張する被害妄想などの「行動・心理症状」が現れることがあります。「行動・心理症状」は「周辺症状」、あるいは「BPSD」とも呼ばれます。 「中核症状」はほとんどの方にみられますが、病気の進行とともに、徐々に強くなります。一方、「行動・心理症状(BPSD)」は、すべての方にみられるわけではなく、環境や家族の接し方によって、軽くなったり、強く現れることもあります。

アルハイマー型認知症の治療とは

アルツハイマー型認知症は、緩やかに進行する病気です。現時点では根本的に治療して元の状態に戻すことは困難ですが、病気の進行をできるだけ遅らせて、本人が少しでも長くその人らしく暮らせるように支えること、そして家族の介護の負担を軽減することが治療の中心になります。アルツハイマー型認知症の治療には、薬による治療(薬物治療)と薬を使わない治療(非薬物療法)があります。

1.薬による治療(薬物治療)

アルツハイマー型認知症の薬物治療には、認知機能を増強して、中核症状を少しでも改善し病気の進行を遅らせる治療と、行動・心理症状(BPSD)を抑える治療があります。薬の効果と副作用を定期的にチェックしながら、症状に合わせて使っていくので、治療中に気になる変化があれば医師に相談することで、より良い治療につながります。

2.薬以外の治療(非薬物療法)

認知症と診断されても、本人にできることはたくさん残っているので、家庭内で本人の役割や出番を作って、前向きに日常生活を送ることが大切です。 アルツハイマー型認知症の治療には、書き取りやドリルなどの認知リハビリテーションのみならず、昔の出来事を思い出すこと、家族以外の人たちと交流すること、音楽、絵画、陶芸などを楽しむこと、囲碁、将棋、麻雀などを楽しむこと、ウオーキングなど軽い運動を続けること、ペットを飼うことなども脳の活性化につながります。 また、家族や周囲の人の対応の仕方によって、行動・心理症状(BPSD)が改善することも多くみられます。